腹黒王子に囚われて

 
じっと見つめてくる新條に、ただただ冷めた目で返す。

しばらく目が合い続けて
ふと周りから話し声が入ってくる。



「ほら、朝からあんな見つめ合ってる!」
「ラブラブなんだー……うらやましー!」



ちらちらと、あたしたちを見ては噂をする生徒たち。


「……最悪」


それに我に返り、一言つぶやいて目線を前へと戻した。


「それそれ」
「……何が?」


向こうも前を向いたかと思うと、少し含み笑いをしながら言葉を続けた。


「お前が俺になびかねぇから」

「は?」

「ごめん。
 ちょっと利用させてもらってるだけ」

「……」


片目を閉じながら、にやり顔でそんなことを言ってくる。


利用って……
どういうこと?