腹黒王子に囚われて

 
その言葉が、どこまで本気なのか分からない。


拓先輩なら、またあたしのように
気に入った子がいたら、同じようなひどい扱いをするのかと思った。

だけどみんなからの話を聞いている限り
拓先輩の隣に並ぶような女の子は誰もいないようで……。



告白してくる女子に、たまたまタイプの人がいないだけなのか……


それとも……。




「葵っ……」



ふとドアから、誰かに呼ばれて振り返った。

そこにいたのは、さっき隣のクラスで男子に詰め寄られていた瑛太がいる。


「何?」


立ち上がって、無表情のまま瑛太のもとへ行く。

にこりともしないあたしには、瑛太もいい加減慣れていた。


「今日、帰りクラスの奴らと勉強会になっちゃってさ……。
 だから一緒帰れない」

「あ、そう。分かった」


だと思った。

漏れていた声で、それくらいは予想してた。