流れ落ちる涙。

まだ抱きしめ返すことはできなくて
ただただ瑛太の顔を見つめていた。



「昨日は本当にごめん……。

 余裕がなかったんだ。
 葵のことが好きすぎて……。

 葵の全てを……もっともっと知りたい。
 俺が一番知りたい。

 そんなふうに思ったら、いつの間にかあんな無理やり……。


 このままだと俺が葵を傷つける。

 いつかの誰かみたいに……俺がそうなってしまう。

 そう思ったら、俺自身も葵から離れないとって……。


 だけど……」



体が反転させられ、ふわりと前から抱きしめられた。


微かに震えるその体は、
瑛太の必死な想いが伝わってくる。



「やっぱり手離すなんて出来ねぇよっ……。

 葵が嫌がるんだったら……怖がるんだったら、もうしない。


 絶対……
 葵の傷が癒えるまで、絶対にしないから」


「…っ」



ポロポロと涙が零れ落ち
あたしは重たい腕を持ち上げ、瑛太の背中へと腕を回した。