腹黒王子に囚われて

 
「知ってる?
 葵の体を開発したのは俺。

 だからあいつの感じるとこ全部知ってるぜ。


 あいつは右よりも、左の胸のほうが感じやすいのな。

 それと、普段ガードが固くても、キスしながらだったら抵抗が緩むって知ってた?」


「……てめっ……」


「アイツがイク時の顔なんて………」



ドカッ……!!


鈍い音が昇降口に響いた。

その途端、女子の悲鳴。


挑発に耐え切れず、俺は上沢をまた殴っていた。


一度殴っても、その怒りは抑えきれず
このまま殴り殺してやりたいくらい。


だけどそんなことしたって
意味がない。




「お前なんかに、指一本も触れさせねぇ」




そう吐き捨てると、
座り込んだままニヤリと笑う上沢に背を向け歩き出した。