瑛太に抱かれそうになったのを拒んで以来、
どことなく感じる瑛太との距離。


一緒に帰ることがあっても、瑛太が家に寄ることはなくなっていた。


メールや電話では普通。
だけど会うと、いつも触れてた指先も、一切触れることはなくて……。


あたしの中で
見えない不安がどんどんと降り積もっていた。



(だってお前の体、すげぇ最高だもん。

 そのうち何度もヤられて飽きられるよ)


頭の中で繰り返されるのは、あの時言われた拓先輩の言葉で……。


もしもあたしが
体を許すという行為をしなくなったら
あたし自身の価値はなくなっているんじゃないかと、そんな不安が心を覆っていた。




「うっ……」

「え、リカ?!」


教室のドア付近で、美咲と話し込んでいると、突然リカが泣きながら教室に入ってきた。


その姿を見て、帰ろうと思っていた足が、さすがに止まってしまう。