「だから今日は帰る。

 葵に嫌われる前に」


瑛太は微笑むと、ちゅっと頬にキスをする。


そして
「またな」と言って部屋を出て行った。



残されたのは、
不完全燃焼なあたしの気持ち。



瑛太に抱かれることが、決して嫌なんじゃない。

たとえ無理やり抱かれたとしても、瑛太を嫌いになることはない。


だけど……


 

(わかった?

 新條だって、お前とヤるためにただ好きって伝えただけ。


 だってお前の体、すげぇ最高だもん。

 そのうち何度もヤられて飽きられるよ)



拓先輩の声が
頭の中でずっとこだましている。




怖い…

怖い……。



体が、
拓先輩に侵食されていく。