鞄を手に取って帰ろうとした瑛太にハッとして
咄嗟に立ち上がって玄関まで向かう。


振り返った瑛太は、あたしの姿を見てため息をついた。


あ……
なんか……嫌がられてる……。


ため息を吐かれた瑛太を見て、急激に不安が押し寄せた。

だけどそんなあたしの体を包み込んだのは……




「だからそんな無防備な格好で来るなよ」




瑛太の温もりだった。


「瑛太……?」

「抱かれたくないんだったら、そんな格好で俺の前に来ないで」

「え……」


あたしの格好は、今瑛太に抱かれそうになったそのままの格好で……。

下着姿に、制服のシャツを羽織っているだけ。
ボタンもほとんど外されている。


「これ以上葵に無防備にされたら、
 力づくでも葵のこと、めちゃくちゃにしちまうから」

「……」


抱きしめる腕に、少しだけ力が強まって、その力に戸惑いを感じてしまう。

それを読み取ったのか、瑛太の腕が離れた。