「ねえ」
「ん?」


高鳴る鼓動を抑え
変わらず強気な目で見つめる。


「なんでアンタって、裏と表の顔、使い分けてんの?」


新條は、パラパラと手にとっている髪を落としていくと、



「世渡り上手なだけ」



と一言で返した。



細められた瞳は
意地悪なのになぜか魅惑的で……


大嫌いなイケメンと呼ばれる顔に
ドキドキを隠せなくなりそうになる。




「俺……」




再び目を開き
切れ長で綺麗な瞳があたしを捉える。




「アンタのこと、本気で落とすわ」




ここからが

あたしの悪夢の始まりだった。