「そのときはよくわかんなくてさ……。
 母さんの好きなやつって、父さんのことじゃないの?って……。

 だけど一つ分かったことは、母さんには俺よりももっと大事な人がいるってこと。


 それから……
 なんかすげぇ、人に嫌われるのが怖くなった。

 いつまた、誰に見捨てられるか……って思うと怖くて……。
 だからその日から、完璧な自分であろうとした。
 すべての人に受け入れてもらえるように……。

 また母さんが俺の前に戻ってきたとき、今度は俺を手放さないでいてくれるように……」



瑛太から話される過去を聞いて、
初めて瑛太が学校であんなに完璧な王子であることを知った。


完璧な容姿に、賢い頭、なんでもできるスポーツ。
それなのに女遊びもしない、嫌味のない性格。


そこには、
母親を想う、純粋な想いが隠されていたんだ……。