腹黒王子に囚われて

 
「なんとも思ってないからっ……
 だからこんなにも体が震えてんだろっ?」

「……え…?」



言われて気がつく。

ゆっくりとあげたあたしの手は、小刻みに震えていて……



「怖いと思ってるから……
 あの時、俺を拒んだんだろ?」


「……」



思い出す。

瑛太に抱かれそうになったとき、咄嗟に拒んだ自分。



「葵は……

 綺麗なままだよ」



信じられない言葉を言われた。


だけど…


瞼から涙が零れ落ちた。