「てめぇみたいな奴がいるから……」


殺意のこもった低い声で、拓先輩を見下ろす瑛太。

あたしまで、背筋がぞくりとした。


周りから、悲鳴が聞こえたけど、
あたしたち3人の間に、周りの空気なんて関係なくて……



「二度と葵の前に現れんな」



瑛太は拓先輩の胸ぐらをつかむと、
そう言い捨てて立ち上がった。


「葵、行こう」


そして、あたしの腕をとって歩き出した。



捕まれている腕は、痛いほど力強くて
だけどその力強さが、その腕に守られているような気がしてなんだか心地よかった。



なんだろう……
あたし……



ずっと瑛太の傍にいたい。