腹黒王子に囚われて

 
「今日は何食べたいの?」
「うーん……どうしよっかなー」


と、同棲カップルのような会話をしながら、お互いに靴へ履きかえて外に出た。


さすがにそこまで来ると
まだ見慣れていない下級生がちらちらあたしたちを見ていて、
だけどもう、そんな視線も気にならない。


夕飯の話をしながら、校門のところまで歩くと
ふと誰かがそこにもたれかかっていたことに気づく。


なんの気なしに顔を上げたそこにいたのは……




「……っ」


「よっ」





また悪魔の微笑みをしたあの人で……




「約束しただろ。

 会いに来た」


「……」




拓先輩は、何事もないように、あたしへと近づいてきた。