腹黒王子に囚われて

 
「葵、帰ろう」
「うん」


いつもの放課後、
瑛太が迎えに来る。


鞄を持って、瑛太の待つドアへと向かった。


「葵、新條くん、バイバーイ」
「バイバイ」


クラスの人たちも、もう誰も冷やかさない。
当たり前の光景に、ただ手を振って見送っていた。


「今日は?ご飯食べてくの?」
「うん」
「じゃあ、帰り買い物しないと」
「はいよ」


瑛太は、ほとんど一緒にご飯を食べる。

瑛太も家に帰っても誰もいないし、
帰ったところで食べるものはコンビニのお弁当。

どうせなら…と、瑛太の分も一緒に作って、家で向かい合って食べるようになった。


さすがに理性がきかなくなるから。


といって、泊まることはしてないけど。