腹黒王子に囚われて

 




あの日から、とくに変わったことはなかった。


あたしと瑛太は、今までと変わらず、学校を一緒に帰る。

ただ一つ変わったことは
ほとんど毎日、瑛太が家に来ること。

そして数えきれないほどのキスをしてくること。


拒むことはしないけど
あたしにはまだ、好きの意味が分からなくて……



今の関係は

偽りの恋人のままなのか
本物の恋人になっているのか

それすらもよく分からないものとなっていた。


だけど、



「いいよ。焦んなくて。
 葵の傍にいられんなら」



と瑛太は言ってくれる。


その優しさに甘えて、
あたしは瑛太の隣で、温かい温もりに寄りかかっていた。