腹黒王子に囚われて

 
「…っ」

「分かる?

 これがただのキス」



それはただ重ねられただけのキスで

言うなれば、瑛太に一番初めにされたようなキスだった。



キッチンで、機嫌を悪くさせた瑛太から
まるであてつけのようにされたキス。
 


呆然としていると、
また顔が近づいてきて…


「…っ……」


少しだけ長い、
唇を押し当てられたキスをされた。



「これが気持ちの入ったキス」



舌が入ってくることはなかったけど
何かをぶつけてこられたような感覚だった。