自分の感情がよく分からない。


誰とでもできるから、瑛太とのキスは平気だと思ってた。

だけど確かに感じた、拓先輩とのキスの嫌悪感。
誰とでもできるの?と瑛太に聞かれた悲しさ。


溢れる涙の理由は何?

この感情は……?




「……っ」




ふいに、また唇を重ねられた。


それは触れるだけの
一瞬のキス。


だけど瑛太の顔は、まだ数センチの距離を保ったままで……





「葵……。


 好き」





その言葉とともに

数センチの距離が、またゼロになった。