腹黒王子に囚われて

 






「葵」

「……瑛…太…」


重たい足を引きずりながら、なんとかたどり着いた家。

だけどアパートの前には、瑛太が待ち伏せていた。


「なんで……」
「なんでって……そっちがなんで、だよ。
 何勝手に一人で帰ってんの?」
「……ごめん」


そっか……。
今の今まで忘れてた。


たとえ瑛太と気まずいことになっても
学校だけは一緒に帰ろうと思ってたんだ。


だけど……




「葵……。

 とりあえず、家にいれて」


「………うん」




なんだか目の前の瑛太が
少しだけ泣きそうに見えて

あたしは言われるがまま、瑛太を家にあげた。