腹黒王子に囚われて

 
拓先輩の姿が見えなくなって
力が抜けたようにその場で崩れ落ちた。


体は全身ガクガクと震えていて
尋常じゃない汗が、体中からにじみ出ている。



(お、お前も傘忘れ?)

(いいじゃん。ちょっと寄ってきなよ)

(そのつもりだったんだろ?
 今さら純情ぶんなよ)

(やべー。お前、最高だわ)


抑え込んでいたはずの過去が
どんどん膨れ上がっていく。



嫌だ……

怖い……




《ま。今日はとりあえず解放してやるわ。

 近いうちに会いに行くから待ってろよ》




助けて……。