「バスケ…部……?」 「そー!だから上沢先輩も来るんだって!!」 「……」 聞きたくない。 その人の名前。 全身が震えるように、じんわりと汗をかいていく。 「葵も……見に行ってみる?」 遠慮がちに聞いてくる美咲。 会いに行く? 冗談じゃない。 会いに行くどころか…… 「ごめん。帰るっ……」 その姿すら、二度と見たくない。 あたしは、瑛太の存在を忘れて ただ必死に廊下を走った。