昨日、瑛太に抱かれそうになって
思いきり拒んでしまった。


平気だと思っていたのに
まるで過去にタイムスリップしてしまったかのように思い出される恐怖。


時間が経てば
またそれは過去のものとして冷めた感情で受け入れられるのに……


やっぱり体はまだ
覚えているんだろうか……。




「……い……葵っ…」

「……え?」


ぼやけた視界の焦点を合わせると
目の前には美咲の姿が。

美咲は必死に目の前で手をぶんぶんとしていて、あたしの名前を何度も呼んでいたようだった。



「ごめん。何?」
「何?って……
 終わってるけど。授業」
「え?」


辺りを見渡して、その光景に驚いていた。


すでに3分の1くらいの生徒が、教室からはけている。