「好きですっ……」
「ごめん。君の気持ちには応えられない」


困った顔で、こっちも辛いんだとばかりの顔を彼女に向ける。

彼女は涙を堪えて俺にぺこりとお辞儀をすると、そのまま走り去った。


その背中を見ても
もう心が痛むことはない。


またか…と思うぐらいで
俺の上っ面な姿しか知らないくせに好きとか言って、何言ってんの?


とさえ思った。



(………あー、うぜぇ)



つい心の声が漏れて、一本の煙草を手に取って壁にもたれかかった。


だけどなんとなく感じた。

人の気配。



(え……)

(………あ…)



そこには、一人の女子生徒が立っていて
俺の姿を見ちゃマズかった…と言わんばかりの顔をしていた。