セドリクが十八歳の頃、彼女のコードネームはエーデルワイスの乙女であった。
何となく高嶺の花のセドリクを揶揄したのだろうが、誰とも結ばれることなくの一節は彼女にも当てはまる。
少なくとも自ら進んでというのは彼女にはなかった。
マクシミリアンはふと昔のセドリクを夢で見た。

マクシミリアンの為にあの綺麗な乙女が穢されたことも思い出した。
つい昨晩のことのようだ。

あれから長い年月をかけて、彼も周囲も丸くなった。
かかった年の数だけ幸せがある。
マクシミリアンは羽根つき帽子にエーデルワイスをあしらったものをかぶり、思い出に浸った。

麗しい乙女の祈りを、乙女の無償の愛を感じて。