そう雷ちゃんに怒鳴られた。
だから首を竦めてしまう。
「チル、電車に遅れちゃうわよ」
ママに言われて時計を見たら7:50だった。
「きゃー!! 遅刻しちゃうー!!」
そう慌ててると、雷ちゃんが溜め息をついた。
「チル、早く支度して来いよ?」
そう言って雷ちゃんが車の鍵を持って、玄関に向かって行く。
「ライちゃんが送ってくれて良かったわね♪」
「うん♪ ママ、行って来まぁーす」
そう言ってカーディガンの上から、制服の上着を羽織った。
手にはスクールバッグを持ち走って車に向かった。
車には雷ちゃんが乗ってて待っていた。
あたしが助手席に乗り込むとエンジンの音が響く。
「チル遅い。 遅刻でいいのか?」
「雷ちゃんごめーん。 お願いします」
そう言うと車は走り出した。
怒ってないか運転席を窺うと、雷ちゃんの手が頭を撫でた。
「大丈夫。 遅刻しないから」
「……うん」
学校の門まで車で送って貰い、あたしが車から降りる時に助手席の足下にキラリと光り輝く物。
それを手に取ってみると………女の子のアクセサリー。
何で……ピアスが落ちてるの!?
可愛らしい星のピアスを掌に乗せる。
あたしのじゃないピアスが落ちてた。
何だか……嫌な気分。
「雷ちゃん、ピアス落ちてたよ。 彼女のピアスかな?」
そう笑顔で聞く。
本当なら笑顔なんて無理なのに……。
「……ああ、サンキュー。 ほら遅刻するぞ?」
返答からして彼女のなのかさえ分からない。
もっと聞きたいけど、でも遅刻したくないし車から降りた。
「雷ちゃん、送ってくれて有難う♪ じゃあ……気を付けて帰ってね?」
ドアを閉めると、雷ちゃんが窓を開けた。
そして優しい声で、あたしを呼び止める。
「チルも勉強を頑張れよ。 後、今日も夜に仕事あるから迎えに来ようか?」
「……迎えに来て大丈夫なの?」
そう聞くと下を向いて唇を噛み締めた。
「大丈夫だけど? チル、どうかしたのか??」
心配そうに聞かれたから、雷ちゃんに心配掛けないように元気にしなきゃ。
「何でもないよ!! 雷ちゃんが大丈夫なら頼んじゃいますよ?」
そう言って笑顔を作る。
笑顔の裏のあたし……胸が痛い……。
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