今時、こういう風に手紙をわざわざ書いて送る人も珍しい。
 そんな風に感心しながら、封を開けた。

拝啓

 突然の手紙、すみません。
 僕は初瀬高の三浦翔吾といいます。
 武田結衣さんとは、小学校のとき仲良くさせてもらっていましたが、覚えているでしょうか?
 きっと、もう何年も経ってしまっているので、覚えていないでしょうね。

 僕はこの春、一身上の都合でそちらの初瀬北高に編入することになりました。
 もしかしたら、結衣さんと同じクラスになれるかも知れないので、とても楽しみです。

 あと、僕は君を好きでした。

            敬具

 文面はそこで途切れていた。
 正直、誰かわからない。
 しかも、過去形で好きって書かれてても……。
 私は、この手紙を読まなければよかったと、後悔した。
 この人物に対して嫌悪感さえ抱いている。

 空気、読めない人だな。

 いろんな意味で、私のこの人への第一印象はこうだった。