英語が標準語とされる“ここ”――国際科学創造研究所で、
僕に向かって日本語を使うのはただ一人。
岡野 准也-オカノ ジュンヤ-
相手が上司だろうが何であろうが、気安く話してしまう彼の名前だ。
色素の薄い茶色の髪は、常に寝癖が一本だけ立っていて、
研究者の証である白衣はだらしなく着崩す。
黒縁メガネ越しの彼の目には、悪戯心がチラリと見えるのだ。
彼のことを簡潔に述べるならば、“頭のネジが一本抜けた阿呆”だ。
日本で二番目に天才と謳われる人物なはずなのだが…。
誰にも予想のつかない馬鹿な行動をたまに起こしてしまう。
彼の頭の中を一度覗いてみたいものだ。


