扉を開けるとこもった空気が流れ出た。
そのままベッドの上に奈々子を乱暴に下ろす。
奈々子は目をぎゅっとつむった。
結城の気配が奈々子の上におおいかぶさる。
そのまま結城は再び奈々子の首筋から鎖骨、胸元へと唇をはしらせる。
奈々子の頭はもうろうとして、まともに考えることができない。
ただ、
身体が熱くて、
熱くて、たまらない。
結城は枕元からリモコンをとるとエアコンのスイッチを入れ、床に投げ捨てた。
がたんという音が響く。
結城の手がシャツの下に入る。
奈々子の身体がびくっと反応した。
目を開けると、頭上の窓はカーテンが空いており、激しい雨音が聞こえている。
奈々子は結城の顔を見上げた。
見たことのない人だ。
奈々子は訳がわからなくなる。
奈々子はシーツをつかんで身を固くした。
シャツを引っ張るように脱がされた。
奈々子の肌がシーツに触れる。
結城が奈々子のショートパンツのボタンに手をかけた。
奈々子は混乱して、側にあったシーツを胸元まで引っ張り上げる。
結城は乱暴にそのシーツをはぎ、奈々子の手首を強く押さえつけた。
「いたい」
奈々子が思わず声をあげる。
その声で結城の動きが止まった。
軽く息があがっている。
結城が奈々子の顔をみつめる。
お互いの心臓の音が聞こえるようだ。
結城が身体を起こした。
奈々子も身体を起こす。
結城は両手で顔を押さえ、呼吸を整えた。
壁にもたれて、身を丸くする。
「奈々子さん初めてなのに、俺の方が冷静じゃなくなって……ごめん、水でも飲んでくる」
結城はそう言うと奈々子を見ずに、ベッドから立ち上がろうとした。
思わず奈々子は「待って」と腕をのばし、Tシャツの裾をつかんだ。
「大丈夫……です」
奈々子はそういって結城の顔を見上げた。
結城は目を見開いて奈々子を見る。
しばらく二人は見つめあい、それから結城は黒のTシャツを脱いで、床に投げ捨てた。
奈々子は引き寄せられ、少し乱暴にキスされる。
息が上がる。
肌に触れていたもの全てをはぎ取られ、結城の体温を直に感じた。
「抱くよ」
かすれた声が耳元で聞こえると、奈々子は激しい痛みに声をあげた。
唇を噛んでその痛みに耐える。
結城の髪が奈々子の胸元に触れる。
涙が出て来た。
痛みをこらえる涙ではない。
なんだろう。
でも涙が止まらない。
結城が奈々子の身体をきつく抱きしめる。
奈々子は結城の肩に顔をうずめた。
そのまま最後まで結城は奈々子の身体を離さなかった。