「おはようございまあす」
母親と一緒に、子供達が続々と登園してきた。
これからが忙しくなる時間だ。
「おはよう」
拓海は腰を屈めて、りなに挨拶をする。
「さっきね、カレー食べたの」
りなは一生懸命に拓海に話す。
「朝ご飯がカレーだったの?」
拓海はりなが靴を履き替えるのを手伝いながら問いかける。
「ちがいますよ」
明るくてりなにそっくりの母親が、苦笑しながら言う。
「昨日の夜カレーだったんですけど」
「ああ、昨日ね」
拓海は思わず笑みがこぼれる。
「りなは拓海先生のことが好きみたいで、家でいろいろ話すんですよ」
「わあ、うれしいな」
拓海はりなに笑いかける。
「先生、カレーすき?」
「好きだよ。エビが入ってるのがいいな」
「りなね、お肉がはいってるのがすき」
「そっかあ」
拓海はりなの帽子をとる。
たくさんの汗をかいている。
拓海はポケットからハンドタオルを出すと、りなの頭をふいてやった。
りなは目を閉じてうれしそうな顔をした。
「よろしくおねがいします」
りなの母親がおじぎをする。
「お預かりしますね」
拓海も頭を下げた。
「りなちゃん、お着替えできる?」
拓海がそう言うと、りなは「うん」とうなずいた。

