「今日はうちの近所なので、明日は須賀さんちの近くにしますか? 何をして毎日を過ごしてるのか、不思議だし興味があります」

「そんなのおもしろくないよ」

「そうですか?」

「駄目!」

「なんでです?」

「あまりにも退屈な過ごし方で、がっかりさせちゃう」

「なにしてるんです?」

「満喫行って、漫画を読むとか」

「……本当に?」

「ほら、がっかりした顔した」

「がっかりはしてませんけど……意外性にとんでいて」
奈々子は想像して、ちょっと笑った。

「ワンピースがもう少しで読み終わる。読んだことある?」

「ないですけど」

「じゃあ、今度プレゼントしよっか。すっごい面白い」

「はあ」

「またがっかりしてる。言っておくけど、そんなに気取って暮らしてなんかいられないんだよ」

「まあ、そうですよね」
奈々子は妙に納得してしまった。


結城が時計を見る。

「もう、十一時。家まで送るよ」
そう言うと席を立つ。


奈々子も後に続いた。