拓海の気配に気づいたのか、ゆきは目を開けた。
拓海と目が合う。


「おはようございます」
ゆきが言った。

「あ、おはよう……ございます」
拓海はつられてそう答えた。


ゆきが身体を起こした。
シーツをひっぱりあげて、胸元を隠す。
大きな目で拓海をみる。


「あの……」
拓海はうまくしゃべれない。

「なんです?」
ゆきが首をかしげる。

「あの……、もしかして、昨日、僕、ゆき先生にひどいことしました?」

ゆきは瞬きをしてから
「ひどくないです。気持ちよかった」
と言った。


拓海は頭をかかえる。

なんてことだ。
同僚とやっちゃっただなんて。


「拓海先生?」
今度はゆきが拓海の顔を覗き込む。
「大丈夫?」

「……大丈夫です」

「意外でした。拓海先生って、すごく男性的なんですね」

「は?」

「強引だったし、すごくセクシーだった」
ゆきが笑う。


拓海は泣きたくなってきた。

「とにかく、服着てください」
拓海は言う。


ゆきは
「じゃあ、先にシャワー使いますね」
と言って立ち上がった。


一糸まとわぬ姿に拓海は驚く。


「隠してくださいよ!」


「昨日あれだけ見たのに?」


ゆきはくすっと笑って、床におちていた彼女のTシャツを身体にまく。
そのままバスルームの扉を開け、入って行った。