「直接言ってたわけじゃないけど、雰囲気でそんな気がしたのよ!」

「雰囲気かいっ!!」


しかも電話の。数分話しただけの。


(自信満々に言うから、てっきり本人から言われたのかと思ったのにっ!!)

不確かでそんな説得力のない話に喜ぶほど私も単純じゃない。



「はいはい、酔っ払いさんはお布団で寝ましょうねぇ」

「あー!信じてないでしょっ!?ほんとなんだからね!」

「はいはい」


抗議するママを強引に寝室まで連れて行き寝かしつける。
ママはまだ抵抗していたけど、横に寝かせるとすぐに瞼を閉じて眠りについてしまった。


ママが完全に眠ったのを確認して寝室から出て、さっき玄関に落としてしまったままの私の荷物を拾いに行く。
お土産の食器類が無事なのを確認してほっと溜息。



(夕飯どうしよっかな……。そうだ、貴一さんと貴一さんちにお礼の連絡送しなきゃだし……お土産渡したいから澪にもメールして……そういえばお風呂も沸かさないと……)


荷物を整理しながらこのあとの予定を考える。やることがいっぱい有り過ぎて頭の中がぐるぐる。

まずは和美ちゃんにメールして隆雅さんや藤子さんたちにお礼を伝えてもらう。そのあとは貴一さんにもメールを送る。

すると、貴一さん宛のメールを送った直後に私のスマホが着信で震えた。
知らない番号だったけと、メールの直後だったから貴一さんかと思って反射的に出てしまった。


「もしもし……?」

『やっほー奈々ちゃん』


その口調に貴一さんと思ってドキリとする。でも声はよくよく考えれば貴一さんじゃなくて。


この声は……



「那由多さんっ!?」

『あれ?もうばれたか』


電話の向こうでふてぶてしくそう零すのは那由多さんだ。声はさすが親戚だけあって似てるから、本当に貴一さんかと思ってびっくりした。



「なんであたしの番号知ってるんですかっ!?」


『和美にヤッシーのパンツと引き換えに教えてもらった』


「パッ!?ちょっ、和美ちゃんなにやってんのっ!?」