駅の構内は帰省や観光から帰る人々で混み合っていた。思った通り今日はUターンラッシュが凄そうだ。
「切符買ってくるから」
「うん。お願いします」
荷物を預かって、販売所の列に並ぶ貴一さんを見送る。
待ってる間、電光掲示板の案内を見みたりして時間を確かめる。 予定してる急行には充分間に合いそうだ。
向こうにお土産の売店があるから、後でママや澪たちへのお土産もなにか探してみよう。
そんなことを考えていると、改札の向こうの方から大勢の人がやって来た。どうやら他の電車が到着したみたいだ。
(もしかしたら古川家の人もこの中にいるのかな……)
そんなことを思って改札から出て来る人々を何気なしに眺める。
すると、本当に見知った顔を見つけてしまった。
(あっ、あのお方は……っ)
見つけたその人は、貴一さんの会社の高坂さんたちの上司っぽいあの素敵なおじ様だった。
隙なく髪を後ろに撫でつけ、品のいいグレーのコートを着こなした渋いおじ様。
混み合う駅のなかでも落ち着いた立ち振る舞いで、とてもかっこいい……。
そう思わずうっとり見とれていると、ふいにおじ様も視線に気付いたようにこちらを見た。
「おや、君は貴一の……」
そう言っておじ様がこちらにゆっくりと向かって歩いて来る。
(やだ、こっち来るよ!?どうしようドキドキするっ!!まずは挨拶しなきゃだよねっ!?)
高鳴る心臓を抑えながら、目の前に立ったおじ様を見上げる。
挨拶、そう挨拶しなくちゃだ。
「こんにちは!あと、あけましておめでとうございます!!あたし、相沢奈々子と申します」
「ええ、おめでとう。君のことは貴一から聞いているよ、以前はろくに挨拶も出来ずにすまないね。私は古川敬二、貴一の親戚だよ」
にこりと笑顔を向けられて、きゅん。
紳士的で柔らかなその物腰がとても渋くて素敵で……。
またもやファザコンが発症しかけたその時。
「はい、ストップ」
貴一さんが私と敬二おじ様の間に割って入って来た。


