「ごめんね」

ぽつりとそう呟かれる。
ごめんねと言ったその顔は、泣きそうな情けない表情を浮かべていた。


これは私の都合の良い思い込みかもしれないけど……、マカロンを食べた時のあの表情も、もしかしたら私に別れを告げるのが辛くてそんな顔してたのかもしれない。

……そう思うと、少しだけ救われた気がした。



「きーちさん、金平糖ありがとう。大事に食べるから……」

「うん」

「だから貴一さんもマカロン、ちゃんと食べてね」

「うん。ちゃんと食べるよ。奈々ちゃんのマカロン、本当に美味しかったよ」


そう言って、貴一さんがそっと私の髪に触れた。まるで大事な物を扱うみたいに戸惑いがちに、優しく触れた。



これで最後。

本当に最後だ。


そう思うと涙がぼろぼろ零れ落ちてくる。



「大丈夫、すぐ忘れるよ僕のことなんか」

貴一さんが私の涙を拭いながらそう言って、そっと頭を撫でる。私はその言葉に乱暴に首を横に振った。


「違うよっ、……あたし、これが最後だよ」

「今だけだよ、ただ珍しいだけだ。きっと忘れる」


言い聞かせるように強い口調で貴一さんがそう言った。


忘れるって、珍しいだけだったって。

そんなわけ、ないのに……。



「違うっ!!貴一さんがっ、あたしの、最初で最後だよっ」




女子高生の純情

なめんな。