キスシリーズ~不器用キス~短編




いつも無表情な春ちゃんが笑うから私の心臓もドキドキして、心が暖かくなるのを感じた。


「やっぱり優は可愛い」


ひとしきり笑うと春ちゃんは優しい笑みを私に向けて、そんな照れるセリフを言ってのけた。


私はもちろん。聞き慣れないその言葉に口をあけたままポカーンとしてしまった。


不意打ちだ!今のは反則だよっ!


「しゅ、春ちゃんはずるいんだ」


いつも私が嬉しくなる言葉を言ってくれる。


だから春ちゃんのこともっと好きになる。


もっともっと、欲張りになる。


そんな自分がいやなのに…。



なんで?なんてそんなことを言う春ちゃんに

「もっと好きになって、欲張りになって、我が儘になるから」

ってそう言ったら、春ちゃんは私の手をとって教室を抜け出した。


お弁当は教室に置いてきてしまった。


春ちゃんはどこに連れて行く気なんだろう…。


お弁当も食べてないのに…。