一瞬そっちに顔を向けると、物凄い悲しそうな顔。

さっきまでの明るい声が嘘みたいな顔で、いきなり走り出してしまった。

その姿に心が痛む。

あの子のあんな顔、俺が一番見たくない。

残り2人がそれを慌てて追い掛けるのも見えた。

それを目で追いながらも、自分の表情が何となく歪むのが分かった。

「今の・・・・・・」

篠原さんにもその様子が見えていたらしい。

走り去っていった子を見て、俺の顔を見ると

「そっか。先輩の顔見て分かります。私何かじゃ勝てる訳、ないかな」

ポツリとそう呟く。