「…謝らなくていーよ。俺こそ謝んなきゃないことあるし」
「…え?」
「この前、佐野さんと飲みに行ったとき…、佐野さんにキスした」
「……」
呆然とした顔で俺を見つめ、目にたまっていた涙がポロリと零れ落ちた。
「ごめん…」
「…ひどい…秀人君…」
「うん。最低だよね。殴っていいよ」
「…キスって口に…だよね?」
「正確に言うとおでこだけど…キスしたことにはかわりねーし…」
俯き、膝の上で両手の拳をぎゅっと握りしめていた。
「本当にごめん。振られて当然だと思ってる…」
「おでこなら許す」
“別れて”って言われるだろうと思ってたのに、予想外の言葉だった。



