佐野さんの事を、笑いものにした。
腸煮えくり返りそうなくらいムカつくんだけど。
お兄さんもお兄さんなら、梨花ちゃんも梨花ちゃんだ。
笑ってそういう事を言える神経がわからない。
正直、性格悪いと思ってしまった。
俺って
梨花ちゃんのどこを見てきたんだろう。
ただ外見だけにとらわれて、肝心なとこをよく見ていなかったのかも。
俺もまだまだ小便くせぇガキだな。
「…ごめん、帰るわ」
俺が立ち上がると、梨花ちゃんが慌てて俺の袖を掴んだ。
「ごめんなさいっっ!あたしひどいよね、佐野さんの事馬鹿にしたみたいに笑っちゃって…」
今にも泣きそうな瞳で俺を見つめる。
思い返せば、梨花ちゃん言動にちょっとひっかかることは今まで何度かあった。
ようやく気付いたのかよ、オレ。
アホだな。



