「とにかく、席に着いたら上着きたほういーっすよ?…じゃっ」
桐島くんは辺りを見渡しながら女子トイレを出て行った。
どうしよう…すっごい戻りたくない。
酔いなどすっかり醒めた。
まぁ最初っからそんなに酔ってないけど。
でもこれ以上ここにもいれないし。
桐島くんじゃないけど、ウンコだと思われるのもしゃくにさわる。
私の場合、恥ずかしいとかじゃなく、しゃくにさわるのだ。
ダッシュでトイレを済ませると、ダッシュで個室に戻った。
しかし、私が戻っても、みんな私に気づきもせずに盛り上がっている。
さっきの七三も、後輩の亜美ちゃんと楽しそうにしゃべってるし。鼻の下伸びてるし。さっき私と話してた時とは大違いの優しい顔してるし。
…なんだ。
私いなくても別にいーか。
美里は同じ30歳だけど、見た目若いし女らしい。そしてその他三人は25前後の若い子ばかり。
私の事なんて、誰も気にとめていない。



