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「想架ちゃん、私部活行くね」



笑顔でバイバイと言って放課後の部活へ向かうため教室から去っていた楓子(ふうこ)ちゃん。


可愛くてふわふわしてて、小動物みたいな彼女は私の自慢のマイフレンドだ。




楓子ちゃんはまるで文化系のようだが、彼女は正真正銘の運動部だ。
しかも陸上部。


中学の時は100m走で県大会を優勝し、関東大会2位という好成績を残してきたことを、高校生で出会って聞いたときは一時期人間不信になりかけた。

あの可愛らしい楓子ちゃんがチーターのように走り抜けるなんて信じられなかったから。


世の中見た目だけじゃないことを噛みしめた。




「前田さん、掃除してください。前田さんは今週教室掃除なのでちゃんと仕事してください」




楓子ちゃんのことを考えていると、ほうきを持っている学級委員の山田くんに注意されてしまった。

メガネのフレームがキラリと光ったので、大人しく彼の言うことに従おう。




山田くんから渡された真っ白く汚れた黒板消しを持ってベランダに出る。



パタパタと黒板消し同士を叩きつけると、白い粉が私の方へと襲ってきた。



ゴホゴホと咳き込む。



くそ、なんでうちのクラスのクリーナーは壊れているんだ!
クリーナーならこんな咳き込むことなく綺麗に出来るのに。





…………は!


もしかして山田くんは私がこうなることを見越して私に黒板消しを渡してきたのでは!?




教室にいる山田くんを見るとニヤリと笑ったような気がする。



やはりそうだったのか!



くそう、策士なやつめ。
きっと私の方がテストの順位が上だったことを恨んでいるんだ。


山田くんはメガネできっちりした服装かつ、学級委員という真面目なのに順位は1位ではなく4位であるという完璧な優秀になりきれていない。
そして彼が欲しかった1位の座は私だ。


きっと彼は私を恨んでいる。



だがしかし山田くん。

あなたは私を恨むより、山田くんよりも3人も良い成績の人がいることを忘れてはいけないよ。