まさかだ!
まさかの出来事だ!
一大ニュースだ!
学校ではキラキラと輝いていた人が目の前ではもう黒のオーラを出している。
顔の整いは一緒だが、そこに笑顔はない。
学校とは全く反対だ。
「おい」
一人で驚いていると仮村くんが鋭く睨んで私を見る。
おお…
まるで人一人殺しそうな目だ。
怖いっす。
王子様(王子様とか笑)怖いっす。
「お前、さっきあったこと絶対に言うなよ」
「え」
「口が裂けても言うなよ」
ギロギロとした目で見られたら、私はもう頷くしかなかった。
コクコクと高速で顔を上下に振る。
彼は学校ではとっても評判のいい男子高校生だ。
その彼がさっきあったような口の悪い、というか腹黒いような行動がバレたら一発でアウトだ。王子様なんて一瞬で崩落。
だから彼は私に口止めをする、というわけだと思う。
「もし、お前がこのことを誰かに話したら―――」
ニヤリ、と悪そうな笑顔をする仮村くん。
その言葉の続きは多分恐ろしいモノだ。
きっと仮村くん信者の女子達にあることないこと私の変な噂を流されてそれが学校中に広がり、先生の耳にも入り、私の高校生活はおしまいになるに違いない。
恐ろしい!
実に恐ろしい!!
「絶対に言いません!前田想架、ここに誓います!」
胸に手を当ててそう誓うと、仮村くんは約束したからな、と言って去って行く。
後ろ姿はまさにモデルのようだったけど、性格は全く違う別人だった。
彼に優しいなんて言葉はかすりもしない。
あいつはただのドSだ!