「おっさん眩しい?」
「ま、眩しいに決まってるだろ!バカかテメーは!」
目を手で隠して光が入らないようにしているおっさん。
男の人はスマホを持ったままだ。
「だろーね」
そう言った男の人の声は何だか楽しそうに聞こえた。
きっと今の状況を楽しんでいるんだ。
一気に立場が男の人の方が有利になった。
「じゃあおっさん、この光見えたくなさそうだから眼、潰してあげようか?」
淡々とそう言った男の人を見てぞっとした。
怖い。
眼を潰すなんて普通の人なら言えない。
おっさんもさっきの勢いもなく驚いている。
「それともここ、蹴り上げてあげようか?」
すっと男の人が上げた脚はおっさんの股関すれすれの場所にある。
あそこって蹴られたらかなり痛い場所なんだよね?私女だから痛みは分からないけど、中学の時のクラスの男子が言ってた。
それに男の人がその痛みを一番知っているはずなのにそれを軽々しくやろうとするなんて……
恐ろしい!実に恐ろしい!
おっさんはそんな常識外れの男の人を見て、力なく走って去っていく。
その姿は実にみすぼらしい。
最初の勢いなんて1ミクロンも見えなかった。
取り残された男の人は去って行ったおっさんの方を一瞥するとゆっくり私の方向を向く。
目が合ってしまう…
そう思った時には既に時遅し。
男の人と目が、合う。
――――――あれ?あの人…