それにしても仮村くんって人を褒めることも出来るんだね。
てっきりドSかつ腹黒過ぎて誰も褒められないかと思ってた。
あ、そういえば昨日、猫を嬉しそうに触っていたし、もしかして仮村くんて……
「仮村くんって本当は優しいの?」
「は。なに言ってんの。お前頭わいてんじゃねぇの」
「はっ!?わいてないし!」
少し驚いた様子を見せた仮村くんだけど、すぐにいつも通りの黒い仮村くんに戻る。
「だって昨日、猫を嬉しそうに触ってたから」
「………てめー見てたのか」
「たまたまだってば」
そんなに見られたくなかったのか、若干キレた仮村くん。
でも昨日見た仮村くんの笑みは嘘じゃないはず。
だから根はきっと優しいのだと思う。
じゃなきゃあんな笑顔で動物に対して接することが出来ない。
裏は黒いのに面白い人だなあ。
と思い、心の中で少し笑う。
(……なんだか久しぶりに人に興味もったかも)
表は王子様で、裏は腹黒いドS。けど優しい、そんな矛盾だからけの彼に少し、興味がある。
3日前に知り合ったばかりなのに、ね。
自分でも不思議だ。
「仮村くん」
「何だよ」
仏頂面に応えた彼。
初めて会った時はこの態度が怖かったけど、今は怖くない。
彼の腹黒さにちょっと慣れたのかもしれない。
「興味、持っていい?仮村くんに」
そう私が言うと彼は一瞬目を見開きそっぽを向く。
そして、呟くように言った。
「好きにすれば?」

