「幼い頃に親が離婚したの」
「は?」
「それで私はお母さんの方に引き取られて、お母さんは女手一つで私を育ててくれた。私はお母さんが将来楽して過ごせるようにいい大学を出て、いい所に就職しようと思ってる。だから勉強は頑張ってる」
「……」
「でも、私だって楽して1位になってるんじゃないの。バイトだってしてるし、塾に通ってるわけじゃない。授業をちゃんと聞いて、バイトが終わってからも勉強して、暇があれば勉強してる。その結果が1位なの」
なのに何で万年2位の人に散々言われなきゃいけないの。
……………って、
仮村くんに何言ってるんだろ、私。
こんなのただの愚痴だ。愚痴を仮村くんに言ったってしょうがない。
それに仮村くん黙っちゃったし。
愚痴何か聞きたくないよね。
とりあえず話を変えよう。
「か、仮村くんって何で私のこと知ってたの?」
「は?」
「ほら、夜に会った時私の名前言ってたから」
「ああ……」
会った時から地味に疑問だったことを聞いてみる。
私みたいな端くれのことを仮村くんみたいな有名人が知ってて、おかしいなと思ってたから。
「俺さ、上から見下ろすの好きなんだよね。人を」
「はい?」
急に何を言い出すかと思ったら、ドS発言ですか。
というか本当に腹黒いな、こいつ。人を見下ろすとか…
「だからいつもテスト1位だったお前にムカついてた。俺のことを見下ろせるやつがいることに」
「私見下ろしてないけど…。もしかして仮村くんも私に腹立ってるの?」
みんなそんなにテストの順位で私のことを恨んでいるのか?
そしたら私、敵いっぱいじゃん。
サバイバルだよ。マジで。
「別に腹は立ってない」
「そうか…。ならいいけど」
仮村くんまで腹立たせたら、仮村くんの取り巻きさん達に何されるか分からないからね。
「寧ろお前は嫌いじゃない」
と、出し抜けに仮村くんが言った。
そんな言葉、仮村くんから聞けると思わなかったからつい目を見開いて驚いてしまった。
「いつも俺の周りでくっついてる奴らよりお前みたいな努力してる奴のほうがいい」
しかも取り巻きさん達より高評価だ。
びっくり。びっくり。

