「佐々木華子(ささきはなこ)」

「?」

「私の名前よ」



何故か急に名乗り出してきた。

私はその名前を聞いたことがあるけど、どこで聞いたか覚えていない。


というか、聞いたっていうか見た感じがする?




「2位 佐々木華子 868点」



彼女がそう言った時思い出した。


そうだ、今回のテストの順位表で見たのだ。

あー、なるほどね。すっきりすっきり。



と、心晴れやかな気持ちでいると、佐々木さんは寧ろ殺気のようなオーラを出して私を睨んでいた。




「その前は2位 856点。その前の前は2位 864点だったわ」

「はい?」

「ムカつくわねその態度。まるで私のことは眼中にないようね」



そんなこと言われても初対面だしね?



「毎回毎回毎回、あなたに1位を取られて、悔しくて沢山勉強しても必ず2位。それなのにあなたは飄々と1位を取ってて……」



そう、なのか。
彼女は毎回私よりも一つしたなのか。

それはご愁傷様でございます。



「ムカつくのよあなた」

「え」

「ムカつくの!!何なの!?あなたカンニングでもしてるんじゃないの!?」

「は!?」




何を言い出すかと思えばカンニング!?

そんなの1秒たりともしたことがないわ!


何を根拠にそんなことが言えるのかなこの人!




「カンニングなんてしてません」

「じゃあ何でよ。何であなたみたいな、‘母子家庭’の子が1位なんか取れるのよ!!」




彼女と会ってから一番大きな声を出した佐々木さん。


その言葉を聞いて、頭の血管がブチ、と切れたような気がした。



要は、私だってキレた、のだ。