「ひ、広瀬君はいるのかなぁー
……なんてねっ!」
広瀬君は話をそらされたことに少しむっと
したような顔
お、怒ったかな…?
うまくかわせたと思ったんだけど…
「…いるよ、好きな人」
二人きりの教室に響く広瀬君の声
…すきなひと
…いるんだ
今まで聞いたことのない
広瀬君の低いこえに
本気で言っているということがわかる
好きな人くらい
いるよね…
私の心は広瀬君の一言で一気にしずむ
今まで心地よかった胸のドキドキが
苦しくてたまらないぎゅうぎゅうとした
感覚になった
「……す、好きな人くらいいるよね!!
普通いるよ…ね…」
そういってる声はきっと震えてて
広瀬君の顔を見ることはできなかった

