とある人に迫られて




『えと…何もないならもう帰るよ?』



問いかけて、自分より頭一個分くらい背の高い榛磨を見上げてみる。



『…………椎那』



目が合わないまま、何かを呟いたような気がして。



『え、なに………』





『椎那』





やっと聞き取れた私を呼ぶ言葉に、返事をしようとしたら…




徐々に、近かった距離がさらに縮まっていって。





トンッ





あっという間に、壁と榛磨とその両腕に囲まれていた。