「本当は美和にプロポーズするつもりで、指輪も、用意してた…。大切な人出来るまででいいから、持っててくれたら嬉しい。渡せなくてごめん。先逝くわ。
幸せになれ。」

涼介…!! 「ふっ…うぇ〜…りょーすけぇ…!」

私の口から、嗚咽が漏れた。

私の様子を見て、今からの検査は無理だと悟ったらしく、先生は、

「落ち着いたら呼んでね。彼のこと、残念だけど、彼の分、あなたが頑張って生きないと。」

返事をする余裕もない私の手に、小さな紺色の箱を握らせて、先生は病室を出ていった。