先生は、車椅子に乗った私と、視界の高さが合うようにしゃがんで、
私と目を合わせた。

「美和さん…、よく聞いて…。
佐渡涼介くんは…、彼は、
昨日、あなたと一緒にこの病院に運ばれて来たの。
重い脳震盪と、大腿部からの出血がすごかった。幸いにも、血を分けてくれる人がいて、輸血は無事済んだわ。
でも、この寒さ… 大量な出血から、肺炎を起こしてしまったのね…?
一度、心肺停止にまでなったわ。

でも、彼は頑張ったの。

心肺停止の状況を乗り越えて、意識を取り戻した。

そのときに、託された言葉を、言うわね。」

『託された』? そんな言い方…まるで、涼介が死んじゃったみたいに。