蒼夏の刹那

あの場所にたどり着くと、夕焼けを背に蒼がぽつんとたたずんでいた。



思わず小箱をぎゅっと抱きしめる。



こんな時なんて声をかけたらいいんだろう、私は……蒼に何を言えば。



「深く考えたら負けだよ、ただ相手を思う気持ちさえあれば十分だと思うけど?オレだったら、それだけで十分だけどね」

「……うん」



私は小走りで蒼に近づき、後ろから蒼を抱きしめる。



その瞬間、小箱は落ちてしまったけど。



「藍花?どないしたん……」

「振り向いちゃだめ!」

「藍花……?」



振り向こうとした蒼が怪訝そうに私の名前を呼ぶ。



「今、振り向いたら泣いちゃうから……蒼との約束、守りたいから……!」

「バカやなあ」

「ばかでいいもん……あのね、蒼の好きなもの作ってきたの。速水くんに手伝ってもらって」



蒼は無言で落ちた小箱を拾った。