蒼夏の刹那

泣いてる私となぎくん……?



泣いてる理由も思い出せないのに、なぎくんの言葉だけはちゃんと覚えている。



“辛い時は辛い顔していいよ。オレの前では、何も作らなくていい”



なぎくんといると世界が、夕暮れみたいに優しい色になる。



蒼が蒼い空なら、なぎくんは夕暮れのオレンジ色の空。



不思議だね。



懐かしくてあたたかい……



“あい……か……”



あれ……声がする……



誰だろうと、思った時、今度ははっきり聞こえた。



“藍花!”



私が瞳を開ければ、なぎくんが必死で名前を呼んでいた。