だから私は雨の日が好き。【春の章】※加筆修正版






本来、営業というのはクリエイターチームの作った内容(うちでは『脳みそ』なんて読んでいる)をプレゼンしたり、先方の意向を伝えたり、と広報的な役割をこなすのが仕事だ。

だから多くの営業は、クリエイターの話を聞いてもちんぷんかんぷんで、訳がわからない、なんて話も聞く。



ところが、森川はそのクリエイターの話がよほど面白いのか、自分でも少しずつ勉強したりしている。

本人曰く、『脳みその内容がわかっていると、その分自信を持ってプレゼンにいける』のだそうだ。


第一のクリエイターを信頼しているのが良くわかる。


珍しく頬を上気させて楽しそうに話す森川を見ていると、こちらまで嬉しくなってくる。

社内ではこんなにも感情を表に出して話したりはしないので、不思議な感覚にもなるけれど。


仕事の話を夢中で話す森川に、時折質問をしながら話を促す。

感心することやわからないことが多いので、話の途中で色々と口を挟んでしまっても。

私の質問に、説明すら楽しいというようにどんどん話をしてくれる。




森川の気が済むまで、いくらでも聞いていてあげよう、と思って三杯目のビールを二つ頼んだ。